秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない

雅臣side

今日は勢いで真帆に付き合ってほしいと言ってしまった。夏休み中に距離をもっと縮めてから言おうと思っていたのに。
そう思うと急に恥ずかしくなった。
何をそんなに焦っていたのか…。

真帆があまりに可愛くて、見ているだけで胸をぎゅっと掴まれたようでたまらなかった。
ずっと一緒にいたいと思ってしまった。

何がそんなに、ということではない。
本能が真帆を求めているのだと思う。
真帆の全てを俺は欲している。
真帆の身体だけじゃない、心が欲しい。
俺だけを見ていて欲しい。

今まで少なからず恋愛はしてきたつもりだ。
この歳になるまで俺は真帆にも言われたが顔がいい部類に入るらしく、言い寄ってくる女も多かったように思う。適当にあしらうこともあれば、付き合ってみることもあった。
付き合う限りは本気で向き合っている、つもりだった。
今、真帆を前にすると今までの付き合いが本気ではなかったのかと思えるくらい真帆に惹かれている。
今まではこんなに切なくなることも愛おしくなることもなかったように思う。
共有する時間が楽しければ、話が合えば良かったように思う。

でも今は、それだけじゃない。
真帆の全てを知りたい。
俺の全てを知ってもらいたい。
真帆の口から溢れる自信のなさはどこから来るのだろう。
俺には真帆が特別に思えて仕方がないと言うことを知って欲しいし何でもしてあげたいと思える人だと分かって欲しい。

あまり強引にことを勧めてはいけないと思うが、でも…誰にも真帆を取られたくない。

真帆…

真帆、俺を見て…

30を過ぎた男の本気を見せてあげるよ。
もう離してあげられないかもしれない。
でも絶対に幸せにしてあげたいんだ。
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