秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
車の中でも話は尽きず、私は楽しく過ごせた。雅臣さんは楽しかったかな?と心配になるくらい私は楽しかった。

結局事故渋滞しており2時間以上かかり都内へ戻ってきた。
私の家の近くまで来るともう今日は終わってしまう寂しさから口数が減ってしまった。

「真帆、疲れた?」

「いいえ。大丈夫です。」

「まだお腹も空かないし…でも帰るには早い、というか…もう少し一緒にいたい…ダメかな?」

「私もちょっと寂しいなって……。」
恥ずかしくて声がすぼまる。

「良かった…。うちに寄らないか?うちで何か作るよ。」

「雅臣さんが?」

「俺も一人暮らし長いんだ。なんでも出来るよ。ただ、普通のご飯だけど。」

「凄い。私も手伝います。」

「え?じゃ、うちに来てくれるのか?」

「あ…えっと…。」

「ただ、話しながら食べたいだけだから。何もしないから。」

何もしないなんて言われると、返ってそこを気にしてましたと言わんばかりで恥ずかしくなる。

千佳に言われたように私の心に聞いてみたら「離れがたい」と言っているのが分かった。

「えっと…大丈夫です。ご飯作りましょう。」

「あぁ。簡単にパスタとかでどう?朝はパン、昼はご飯だったし。」

「パスタ大好きです。」

「じゃ、うちに向かおう。」

私の家の方向に向かっていたのに雅臣さんの家の方向に方向を変えた。

「雅臣さん。もううちの近くだし、うちに来ますか?狭いけどパスタなら出せますよ。雅臣さんの作ったパスタも食べてみたいけど。でも今から品川へ行くよりうちにどうぞ。」

「え!?真帆の家?いいのか?」

「雅臣さんの家に行くのも変わらなくないですか?雅臣さんの家のほうが広くて綺麗でしたから狭くて恥ずかしいけど。」

「いや、そんなことはない。でも…真帆の家…あ…う…。」

「ごめんなさい。うちじゃなくてもいいんです。ただ、うちの方が近いと思っただけで。」

「いや、まさか真帆の家に入っていいなんて…ま、でも何も…。あ…うん。お邪魔させてもらうよ。」

「向かいにあるパーキングが安いしいつも空いてるから停められると思います。」

「分かった。」

また車の方向を変え10分で家に着いた。
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