秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
こんなに買ってたんだ、と思うくらい雅臣さんは両手いっぱいに今日の買い物を持ってくれ私の家へ来た。

「おじゃまします。」

「はい。どうぞ。」

雅臣さんに部屋を見渡され恥ずかしいけど、私の部屋にいることが不思議な気持ち。
部屋を見せるなんて最近は千佳以外何年もなかった。彼がいたのはもう3年くらい前だもん。ちょっとドキドキする。

「今飲み物出しますね。洗面所はこっちです。手を洗って座っててください。」

「ありがとう。」

私は締め切ってた部屋の窓を一度開け、こもっていた熱い空気と匂いが入れ替わるようにしつつ、クーラーをかけた。しばらくしてクーラーがきいてきたところで窓を閉めた。

朝と同じ水出しコーヒーを出すと雅臣さんは喜んでくれた。

「真帆はきちんとした生活を送ってるんだな。このコーヒーにしても朝のサンドウィッチにしても。部屋も突然なのに片付いてるな。」

「あんまり見ないでください!ボロが出ます。それにパスタの難易度を上げられちゃいます。」

「あ、パスタなら俺が作ってよければ作るよ。キッチンとか使ってよければ。」

「本当ですか?!」

「あぁ。昔バイトしてたからパスタなら苦じゃないんだ。賄い的な簡単なやつだけどさ。」

「嬉しいです。冷蔵庫は今たくさん入ってるんです。夏休みは家に籠る予定なので買いだめしていて。」

「あと6日か?夏休みは。」
 
「そうですね。今のところまだ篭ってないので冷蔵庫には沢山あります。」

「なら後で見せてもらうな。」

「ありがとうございます!」

私と雅臣さんは買ったものを出し模様替えを始めた。
部屋でなんだか緊張したせいもあり、なんとなくテレビをつけ、なんとなく買ったカバー類などを出し始めた。
私がシーツやクッションカバーを変え、雅臣さんは買ってきた食器や雑貨の梱包を解き、洗ってくれた。
ラグも変えたので雅臣さんが来た時とはだいぶ雰囲気が変わったように思う。

「真帆、このカバーいいな。なんか癒し系ばかり買ってるな。」

「そうですね。部屋にいる時間が長いので癒し系が欲しくなるんです。あ、そうだ。この前のキャンドル見ます?水に浮かべると可愛いしいい匂いなんですよ。」

「じゃ、ご飯食べたら見せて。真帆の部屋がいい匂いなのはアロマグッズのせいか?」

「臭くないですか?」

「いや、甘すぎず割とスッキリした柑橘系の良い匂いがする。」

「いやーっ!恥ずかしい。匂いの感想言わないでください。臭くなければいいんです。」

「臭くはない。良い匂いだよ。」

本当に恥ずかしい。
物を見られるのも恥ずかしいけど目に見えないものの方がもっと恥ずかしいってことがわかった。
しかもうちにこんなイケメンが入るなんて考えてもみなかった。
やっぱりよく見ても顔立ちがいいな。
なのに性格までいいなんて神様は不公平だなぁ。
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