秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
ホテルに着くと2人でベッドに寝転び、ついウトウトとお昼寝をしてしまった。

私がハッと目を覚ますと隣で雅臣さんも寝息を立てて眠っていた。

そうだよね。運転してるし疲れるよね。

私は雅臣さんにぎゅっとしたくなり寝ているところに入り込んだ。さっきよりも雅臣さんの寝息が近く、鼓動を感じられる。

私がもぞもぞと動いたせいか雅臣さんも起きそうなのか動いている。
そして私が胸元に入り込んでいたのを抱きしめてきた。
ぎゅっとしていた手が背中をさすり始め、次第に服の中に入り込んで肌をさする。

ん?

んん?

パッと見上げると薄目を開けて見ていた雅臣さんと目が合う。

あ…

「起きてたんですか?!」

「今、起こされた。」

「嘘!手が動いてますもん。」

「いや、なんだか気持ちいいなぁと思って。」

「もーっ!」

雅臣さんの手は私の服から出ることなくまだ触っている。

「雅臣さん!起きますよ。シャワー浴びて夕飯食べに行きませんか?」

「あぁ、そうだな。さすがにもう7時だもんな。」

「大変!急がないと。」

「じゃ、一緒に入るか?」

「入りません!お先にどうぞ。」

「真帆は堅いなぁ。」
そういうと雅臣さんはベットを下りシャワーを浴びにいってしまった。

その言葉に私は胸がチクっとした。
どうして融通が利かないんだろう。
呆れられた?
さっきの可愛いスタッフが思い出される。
やっぱりああいう可愛い子がいいに決まってるよね。

あぁ…
もうイヤ。

私は急に不安に襲われ、部屋を飛び出してしまった。

ホテルの裏手には林があり、小さな川が流れていた。
私はそこに座り込み、自分を一生懸命落ち着かせようとした。

雅臣さんと離れたくない。
でも…

大きく息を吐き、何度もお腹の中に溜まったモヤモヤしたものを吐き出そうとするが全然出てくれない。

雅臣さんを想うと胸がギュッとなる。喉の奥が締め付けられる。

雅臣さん…私…
こんなに急速に雅臣さんに惹かれるなんて思ってもみなかった。
どうしよう。
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