秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
「真帆。ホテルへ戻ろう。」

「はい。」

私たちは見つめ合いキスを交わすと立ち上がった。 

手を繋ぎ林道をホテルへと戻った。

気がつかなかったがかなり奥まで入っていたようで、よく暗い中1人で歩いたものだと自分でも驚いた。 

そんなところにいた私を見つけ出してくれた雅臣さんを嬉しく思い腕に抱きついた。

「真帆。ご飯を食べたらまたさっきのところに行こうか。今からだとロープウェイまで行くのは遅くなる。さっきのところは真っ暗だから夜空も綺麗だと思う。」

「ごめんなさい。そうですよね。もう遅いですよね。」

私の勝手な行動を怒ることなく優しく包み込むように、

「真帆のおかげでお互いの気持ちが分かり合えたよ。それにみんなで見るより2人きりで空を眺めようよ。」

「うん。」

私たちはホテルへ戻り、一度シャワーを浴びたところで食事を取りに行った。

鉄板焼きを食べ、お腹いっぱいになったところでフロントへ行く。
星を見たいと相談したところレジャーシートと星座の早見表、ブランケット、ランタンを貸してもらった。
私たちは贅沢にもチーズとワインの小瓶を持ちさっきのところへ戻った。

川の音が聞こえる中、私たちはレジャーシートに寝転び夜空を見上げた。
林道を抜けたところにあるため空が開けており、また真っ暗闇のため星がよく見える。

こんなに星があるのかと言うほどに星が降るように見える。

さっき泣いていた時には気がつかなかった。
こんなに星が煌めいていたなんて。

2人で手を繋ぎ、星を見ながら川のせせらぎを聞く。

どれくらい時間が経ったのだろう。

時間を忘れるほどに星空に魅了されていた。

「真帆…凄いなぁ。こんなに星があるんだな。」

「うん。同じものが東京にもあるはずなんだよね。でも全然違う。星が降ってくるみたい。空一面星があるね。」

「そうだな。こんな静かでこの世界に俺たちしかいないみたいに思わないか?」

「うん。」

「真帆に誓うよ。俺には真帆だけだって。真帆しかいらない。真帆といると心が休まるんだ。」

「うん。私も雅臣さんといたい。素直でいたい。」

寝そべったまま私たちはキスをした。

そして起き上がるとワインを飲みながら寄り添うように2人でブランケットに包まり夜空を見上げた。

どれだけここにいたのだろう。

「さぁ、そろそろ夏とはいえ涼しいし部屋へ戻ろうか?」

「はい。」

ブランケットやレジャーシートをたたみ、飲み物を片付け私たちはまた手を繋ぎ元来た道を戻った。

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