秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
翌朝、2人して寝坊気味。
慌てて朝ごはんを食べにレストランへと向かった。

夏休み中なので小さな子供を連れた家族ばかりが目立つ。

ともくんみたいにまだ小さな子を見かけるとつい目を奪われる。
可愛いなぁ。

「真帆は子供が好きなのか?」

「そうですね。好きです。ともくんは別格ですけど。」

「ともくんは強敵なんだな。」

「それはそうです。何せ千佳の出産に立ち会ったので陣痛から知ってます。今でも鮮明にともくんの産声も覚えてます。感動的でした。あんな経験は2度とないですね。」

「そうか。そんなに感動的なものか。」

「はい。さっきまでお腹にいた子が生まれてくるなんて本当に神秘的だと思いました。もちろん現実は千佳は苦しんでいたし、大変でした。あんなに辛いことはないんじゃないかと見ていてハラハラしました。でもその大変さがあって、ともくんの産声を聞いた瞬間、感動で震えました。」

「そうか。俺は経験したことのないことだな。」

「そうですよね。普通はないですよね。私もまさか千佳の出産で経験するとは思いませんでした。でも一生に一度のいい経験をさせてもらいました。」

「真帆はまだわからないだろう。」

「……うん。でも…無理かな。」

「何故?」

「さ、そろそろ行きませんか?もうだいぶ少なくなってきましたよ。私たちがいたら片付けられませんよ。」

私は立ち上がり雅臣さんと部屋へ戻った。

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