社長じゃなくて、君の夫になってもいいですか？　〜社長、嫌いになってもいいですか？シリーズ　第２章〜
酒が回ったインターン達が各々最寄り駅へと向かっていた時、突然
「あいつ、絶対処女だと思う」
と、そのメンバーが言い出した。

「おい、こんな道の真ん中でそんなこと言うなよ」
そう他のインターンが言ったとしても
「うるせえ。あのクソ女、絶対俺が犯してやる」
と目の前でスマホを操作し始める。

「何をしてるんだ」
そう言った僕の声には、怒りが含まれていた。
「社長、止めないでくださいよーインターン同士のことに口挟むなんて無粋ですよ」
とそのメンバーに言われて、一瞬怯んでしまった。
インターンと社長という線引きをされたことに、僕は傷ついたから。

この時にこのメンバーを１発殴っておけばよかった。
でも、できなかった。
そしてそれを、今でも本当は後悔している。

そこには、すでに飲み会には参加せず、家に帰ったはずの雨音が立っていたから。
暗くて、どんな表情をしていたかは見えなかった。
でも、彼女は、僕の顔を見ると、軽く会釈をしただけで、無言で走り去った。

彼女が、インターンの彼らが、飲み会に参加するために残した仕事を、居残りしてまでやってくれていたと、次の日に知った。
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