愛は愛より愛し
その言葉はずばり的を得ていて、口を噤む。
「僕生きてるんだけど」
見透かしたように笑われた。
挙動は歳上だ。顔のアンバランスさに、片足を取られそうになる。あと長い睫毛。
苛ついたので歩き出す。隣を歩く世名。
「世名って」
「うん?」
「石堂財閥の……」
横を向いた。そうか、今この瞬間も、誰かに見られてるいるかもしれない。
世名は普通に立ち、こちらを見ている。
私の言葉を待っているのか、それともただ見ているだけなのか。
「御曹司、なの?」
昼の七瀬さんの言葉を借りる。
「そうだよ」
あっさりと返答された。