愛は愛より愛し
「なんで謝るの?」
「いや失礼だったなと」
「僕は嬉しいけどね。訊いてくれたらなんでも答えるよ」
よく分からないけど上機嫌だ。機嫌の良し悪しは分かりやすいのに、その要因が分からない。
なんでも答えるというので、尋ねてみる。
「世名ってうちの近くに住んでるの?」
「すごい近いわけじゃないけど。今度来る?」
「そんなつもりで訊いたわけじゃ」
「妹さんたちも連れて」
「行きたいです!」
その言葉を聞いたのは、うちの最寄り駅につく頃だった。
後ろを振り向く。目を輝かせた恭子がいた。
手にエコバッグを提げている。大学とおつかい帰りらしい。