愛は愛より愛し
弾丸でロンドンに行ったものの、お金もなく泊まる場所すら無かった私は、ひたすら歩いていた。
周りは観光客や現地の人だらけ。
不思議と不安は無く、その時はただ怒りと悔しさだけで動いた。
そこに日本語で話しかけてきた男が、白馬の王子で、何も持たない私に親切にしてくれた。
振り返ってみると、確かに危ないことをしたし、妹たちに心配をかけたと思う。
でも、私にとって無くてはならない事だった。
そして、未だにその影を追っていることも認める。
あの頃、私は社会の何も知らず、ただの一端の小娘で、そんな自分に優しく接してくれたのが嬉しかった。