愛は愛より愛し

それをよく見て育った恭子が便乗してくる。
看護の専門二年。恭子は夢見がちなところもあるけれど、強欲傲慢は美としている。

「私その車の見分けすらつかない」
「これがねーメルセデスでー」
「恭子、ご飯中はスマホ弄らないの」
「はーい」

スマホの画面を見せて来た恭子を窘めた霙。それをしまった。

「そういえば今日、良い腕時計してる男には絡まれた」

昼のことを思い出す。霙が顔を上げた。何か言うより先に、恭子が身を乗り出す。

「格好良い人?」
「なんかハーフっぽかった。色白」

ブルーグレーの瞳の色って、どこのハーフなのだろう。

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