愛は愛より愛し
霙が胡乱な視線を送ってくるので、掌を見せた。
「勿論、振り切って逃げてきた」
「お姉ちゃんって変な人に狙われるの多いからなあ……」
「じゃ、また出会えたら運命だね!」
恭子の言葉に頭が痛くなる。
そうならないことを願っているけれど。
夕飯後、ベランダで煙草を吸ってリビングに戻る。テレビを見ている霙がソファーに座っていた。
恭子は自分の部屋に籠もって友達と電話をしているらしい。
「霙、来年どうすんの?」
カラカラと後ろ手で窓を閉める。
霙がテレビからこちらに視線を移した。