愛は愛より愛し

首を傾げて、瞬きを数度。

「就活のこと?」
「まあそれもだけど。家出るのかなって」
「え、そんなことしないよ」

そう言えば、少し顔を強張らせる。
言い方が悪かった、と少し反省。

「出る選択肢もあるってこと。就職してお金貯まったら一人暮らしした方が、今より家事とかの負担は減るでしょ」
「お姉ちゃんってたまに親みたいなこと言うよね」

シュークリームの袋を開けながら霙が唇を尖らせた。

「そりゃ、大事な家族だし、妹だからね」

私は煙草ケースを食卓テーブルに置いて、冷蔵庫へ向かう。アイスコーヒーをグラスへ注いだ。

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