愛は愛より愛し

その返答に満足したのか、嬉しそうに私の持っていたざる蕎麦とコーヒーを持ってレジへ行く。

……よく分からないひとだ。まあ、気が済んだなら良いけれど。

「ねえ、誰?」
「びっくりした。見てたなら助けてよ」
「あのイケメン、誰?」

菱元が私の隣に並んで世名の後ろ姿を目で追っていた。

「閑野の彼氏!?」
「違う。この前喫煙所で……酔っぱらいに絡まれてたから、いや、私が絡まれた……?」
「よく分かんないけど喫煙所で会ったのね。どこの誰? 営業職?」
「そうみたい、ほらあそこの」

聞けば知っている企業名。私はそういうのに疎いし気にしたことがないので、大手かどうかは知らない。

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