愛は愛より愛し
「それ、通報した方が良くない?」
「そこまででもない、というか、通報するようなことはされてない、ような」
「手掴まれたなら暴行罪でしょ」
「私も足踏んでるんだ……」
しかもかなりガッツリと。すぐに退いたつもりだけれど、ヒールで足を踏まれたら痛かっただろう。
ただそれを理由に強請られても面倒だなとは思っている。
「次会って何かされたら通報する」
「絶対だからね」
それに頷いて返した。
まあいつか、これが笑い話になれば良い。
玄関から鍵の開く音がする。
「ぐれちゃーん、みぞちゃーん、ただいまー!」
恭子の声が聞こえた。