愛は愛より愛し
それぞれの思惑が交差して、ぶつかる。
いや、ぶつかりそうに、なる。
「そうなの? じゃあお茶飲んでってもらおうよー」
そんなことお構いなしに、恭子がのんびりした声で提案した。
「いえ、それは」
世名が首を少し振る。霙も頷き、それに同調した。
「そうだよ、恭子。もう遅いし」
世名ならにこにこと笑いながら乗ってくると思った。
私は少し考えて、顔を上げた。
「どうぞ、麦茶かコーヒーしかないですけど」
それにに霙が戸惑い、どこか諦めてスリッパを出す。
恭子の肩を持って、リビングへと歩いた。