愛は愛より愛し

食卓テーブルの椅子に恭子が座り、霙が大きく溜息を吐いた。

「骨折はしてないの?」
「うん。普通に一人でも歩けるけど、こんなに血出てると恥ずかしいじゃん?」
「恭子って本当に強かだよね……」

呆れてしまう。棚から消毒液と大きめの絆創膏を出す。

夕飯が終わっていて良かったと思う。
絆創膏類を霙に渡して、キッチンでコースターと客用グラスを用意した。
そこに冷たいアイスコーヒーを注ぐ。

後ろから恭子の鞄を持ってきてくれた世名をソファーに通す。

「ありがとうございます」

姿勢が良い。そして、グラスを持ってごくごくと飲み干した。

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