愛は愛より愛し
とりあえず、コーヒーは飲んだのだから世名には帰ってもらおう。
「恭子を助けて頂きありがとうございました。お引き取りください」
「やっぱりおかわり貰います」
「持ってるコーヒー飲んでください」
家宝を早く胃に収めてほしい。
世名は肩を竦めて、案外あっさりとソファーを立った。
「名残惜しいですけど、お暇します。お邪魔しました。恭子さん、膝お大事に」
話しかけられ恭子が顔を上げる。それから頭だけを下げた。
「ありがとうございました。お見送りできなくてすみません、代わりにぐれちゃんが見送ってくれます」