愛は愛より愛し

コンビニの裏の喫煙所はまあまあ人がいた。この時間はやはり混む。

煙草を咥えて火を点ける。田崎さんが営業の顔見知りであろう人たちから挨拶されていた。

田崎さんは営業のエースらしい。菱元の話によると。
私は煙を吐きながらそれを見る。

「閑野、来週の暑気払い来んの?」
「あーありましたね……」
「お前酒弱いんだっけ?」

いつの間にか私の横に来ていた田崎さんが話しかけてくる。

「弱い、ですね」

ビール一杯で気持ち悪くなる。ので、強制的に参加させられる飲み会は最初の一杯を飲んで、後は煙草を吸いに消えて誤魔化していた。

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