愛は愛より愛し
帰り道、昼のことを思い出した。
貰った煙草はデスクの引き出しにしまっている。あんな風に言ったけれど、私が煙草を辞めた方が早く返済出来るのだろうということは分かっている。
辞めようかな……いや……。
「ぐれおねーちゃん!」
呼びかけられ、反射的に足が止まる。後ろから恭子が隣に並んだ。
「見て! 店長にお姉ちゃんが紙煙草吸うって言ったらくれた!」
視界に入ったのは、私がよく吸う銘柄の煙草のカートン。と、恭子のキラキラした笑顔。
それを見て、なんだか泣きそうになった。
恭子と煙草を一緒に抱き寄せる。