愛は愛より愛し

どこか納得のいっていない顔をする恭子を見て、もしやと思いつく。

「最近、誰かにつけられてることとか、ある?」
「んー、どうだろう。でも今は結構ちゃんと感じた」
「恭子、ストーカーとかじゃないよね? お客さん、とか」

恭子のバイト先は居酒屋。酔っぱらいに絡まれることも多々あるだろう。その中の誰か、なんて。

恐ろしい想像をしながら、じっと見れば、恭子は首を振った。

「いや、違うと思う。寧ろぐれちゃんじゃない?」
「え、なにが」
「ぐれちゃん、変な人を吸い寄せる才能があるじゃん」

そんな才能はないし、要らない。

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