愛は愛より愛し
日々を愛す
プレゼントです、と小さな紙袋を差し出された。
久しぶりに会った世名は相も変わらず整った顔で立っている。道端で急に現れたわけだけど。
「い……要らないです」
なんの賄賂だ、と疑ってしまう。
「え、どうして」
「誕生日まだ先なんで」
「日々の感謝を」
「更に意味が分からない」
受け取らずにいるが、世名はずっとそれを寄越したまま。
道の真ん中で立ち止まる男女の図。じろじろと往来する人たちに見られている。
「私、帰りますね……」
「僕、今日誕生日なんです」
「それは、おめでたい……」
今日何日だっけ、と日付を思い出す。