愛は愛より愛し
「……話したことあったっけ?」
「ん?」
「好きな食べ物とか」
「そこはほら、愛の力で」
どんな愛だ。
私は世名から距離を取る。そしてその分寄ってくる。
「美味しい蕎麦屋をピックアップしておきますね」
拳を見せて花を飛ばす姿を見て、閉口。
後悔しかない。
いやでも、明日昼を一緒にすれば終わるのだから、と自分を鼓舞する。
あとそんなに喜んで貰えるなら、悪くないかなとも思える
……きっとこういうのが世名を付け入らせているのだろう。
「そういえば恭子さん元気?」
世名の口から出た妹の名前に警戒心が増す。