愛は愛より愛し
ちら、と隣を見れば涼し気な顔。
「元気に国試の勉強してる」
「国試受けるの? 専門行ってるって言ってたけど」
「看護の……」
そこまで口にして、ハッと気付く。
私は今、恭子の個人情報を漏らすところだったのでは。
途中で止めたからか、世名がこちらを見た。
「恭子も世名のことを聞いてきたから」
「へー」
「気が合うんじゃない?」
「閑野さんと? 僕もそう思う」
違う。
にこにこする世名の視線が鬱陶しく、正面に向き直る。
この男の特技。人の話を聞かない、だから。
「僕と恭子さんが付き合ったら」
世名は続ける。