愛は愛より愛し
生温い風が首を撫でていった。
夏は結構長く、居座る。
「閑野さん、僕と寝てくれる?」
「……は?」
ぽかん、と馬鹿みたいに口が開いた。
「いや、たらればの話だよ? そんな色気のない誘い方はしないから」
「焦る所が違う」
「僕、閑野さんが言うなら誰とでも付き合うし誰の首だって持ってくるけど。それは閑野さんが僕を一番にしてくれるなら、だから」
開いた口が塞がらない、とはこのこと。
世名をただの変人だと言ってしまうのは、宜しく無い気がする。
「待って、恭子と付き合ったうえで私と寝るってこと?」
「うん?」