愛は愛より愛し

たらればの前提を確認する。世名が視界の端で頷くのが見えた。

「そんなテキトーなことして恭子を泣かせたら、あなたのこと沈めるから」

睨めば、目をパチクリさせ、笑う。

「だよね」
「は?」
「なので恭子さんと付き合うことはありません。悪しからず」
「す、勧めてないし!」

駅まで来て、改札を通る。階段を上り、ホームへ行った。

どこにいるのか分からないけれど、ビルの多いこの辺で鳴く蝉の声に、暑さを感じる。

「ケーキは食べるの?」

誕生日ならでは。閑野家では好きなケーキを選ぶことができる。

< 78 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop