イケメン御曹司の甘い魔法
朝食を終えた私は、藤堂さんに自宅まで車で送ってもらう事に、なってしまった。
藤堂さんの優しさに感謝しかない。
車を運転する藤堂さんをチラッと見てしまう。
真っすぐ前を見る横顔がカッコ良すぎる。
仕事の時よりも、ラフな髪形は前髪が少し目にかかり、艶っぽく見えてしまう。
「藤堂さん、昨日の残業から本当にありがとうございました。そしてご迷惑もお掛けして申し訳ございません。」
車を降りたところで、深々と頭を下げてお礼を伝えた。
本当は土下座したいくらいだ。
「木下さん、楽しかったよ。そうだ、残業で遅くなったら、また家に泊まりに来なよ!」
藤堂さんは、優しい言葉と爽やかな笑顔で手を振ってくれた。
車が見えなくなるまで私はボーっと放心状態だった。
月曜日、仕事を私に押し付けた紗栄子が、藤堂さんと話をしている。
金曜日の出来事があり、朝から藤堂さんが気になっていた。
何気なく藤堂さんの方を見ると、目が合ってしまう。
すると、藤堂さんは私に親指を立ててニヤッと笑った。
何事かと思っていると、大きな声で藤堂さんが紗栄子に話し始めた。
「金曜日は悪かったね、この資料大変だっただろ?でもすごいな完璧だよ。俺がお願いした以上に進めてくれていたのだね…どうして分かったのかな?」
紗栄子はその言葉に気まずそうにしている。
私は何故か気持ちがスカッとしていた。
いつも仕事をお願いされても、何も考えないようにしていた。
今日、初めて自分の気持ちに気づいたのかも知れない。
悔しい気持ちが私にもあったのだ。