イケメン御曹司の甘い魔法
何かが変わる予感
「木下さん、ちょっといいかな?」
藤堂さんが、何かの資料のような紙を私に持ってきた。
「---はい。何でしょうか?」
藤堂さんに話し掛けられて心臓がドクンと鳴るが、なるべく気が付かれないよう、努めて平然を装った。
すると、藤堂さんは私の目の前に、見えるように資料を差し出した。
その資料には、ブルーの四角い付箋が貼ってある。
藤堂さんは、その付箋を指さした。
その付箋に書かれていたのは…
“さっきはスカッとしたな!”
驚いて藤堂さんの顔を見上げると、悪戯な表情で片眉を上げてニコッと笑っている。
私は戸惑い、どんな顔をしたら良いのか分からず顔が熱くなってくる。
藤堂さんは私の背中をポンポンと叩いて行ってしまった。
藤堂さんは、恐らく私に仕事を押し付けた紗栄子が、藤堂さんから指摘されて、困った顔をしたことを言っているのだろう。