イケメン御曹司の甘い魔法
「嬉しいな。ありがとう。開けても良い?」
藤堂さんが、嬉しそうにプレゼントを開けてくれている。
気に入ってくれるか、とても心配だ。
「木下さん!これはコーヒーカップだよね。嬉しいな。藍色の信楽焼でとても素敵だ。」
藤堂さんは、お世辞かも知れないが、笑顔で喜んでくれている。
早速、使ってみたいと言ってくれて、コーヒーを淹れる準備を始めた。
私用にと、お客様用のハイブランドのカップを一つ出しながら、何かを思いついたように振り向いた。
「木下さん、今度は俺が木下さんのコーヒーカップをプレゼントさせて欲しいな。ここに来た時に使えるように置いておくね。」
「-----ええと---ここに来る時ですか?」
全く意味が分からない。
ここに来る事が、今後あるとは思えない。
「木下さん、これから残業で遅くなった時と、金曜日の夜は用事が無ければここにおいでよ。会社から近いし結構便利だろ?」
便利かと聞かれれば、その通りだが。
残業で遅くなった時はまだ分かるが、なぜ金曜日の夜もなのだろうか。
意味も分からず、ポカンとしてしまう。
「今週の金曜日までに、俺がコーヒーカップ選んでおくから、楽しみにしておいてね。」
「----はっ-----はい。」
訳も分からないまま、返事をしてしまった。
私の頭が悪いのか、一生懸命考えても意味が分からない。