イケメン御曹司の甘い魔法
藍色の信楽焼のカップにコーヒーを注いだ。
和と洋が丁度良いバランスだ。コーヒーも美味しそうに見える。
藤堂さんは、カップに顔を近づけてコーヒー香りを確かめる。
「木下さん、いつもより香りが良く感じる。すごく美味しいよ。ありがとう。」
藤堂さんの喜ぶ笑顔に、また心臓がドクンと鳴った。
そして、どんな顔をして良いのか戸惑っている私の顔を、何故かじっと見つめているようだ。
「木下さん、メイク変えたの?可愛いね。いつものシンプルな木下さんも可愛いけどね。」
「あの----恥ずかしいので---あまり見ないでください---」
無意識なのだろうか、藤堂さんは甘すぎる。
可愛いなんて言われ慣れていない私は、顔が熱くなり火が出そうになる。
会社を出る前に、メイクしてくれた真理子に感謝だ。
「そうだ、木下さんのために、夕食作ってみたのだけど、食べてくれるかな?」
「藤堂さんが、作ったのですか?」
「---うん。男の料理だからあまり期待しないでね。」