イケメン御曹司の甘い魔法
なんと、藤堂さんは夕食を作ってくれていた。
メニューは、棒棒鶏、サラダ、お味噌汁、ごはん
「藤堂さん!凄いです。美味しそう。」
棒棒鶏は実家の家政婦さんが、教えてくれた料理で、藤堂さんの得意料理の一つと言っている。
サラダのドレッシングも、手づくりだそうだ。
「どうぞ、お召し上がりください。」
藤堂さんはニコリとしながらも、心配そうにじっと見ている。
先ずはサラダを一口パクリと食べてみる。
ドレッシングはレモン風味で爽やかな香りが口の中に広がる。
続けて棒棒鶏もパクリと口に入れた。
鶏がとても柔らかく、ゴマ風味のタレはピリッと辛みがあり私好みだ。
「藤堂さん、全部美味しくて、私の好きな味です。ありがとうございます。」
「よかった~!。」
藤堂さんは、ホッとしたように微笑んで、自分も食べ始めた。
藤堂さんと向かい合って、手づくりの夕食なんて、贅沢すぎる。
罰が当たってしまうのではないかと思うほどだ。
夢ならまだ覚めないで欲しい--------。
食事が済むと、今日も家まで藤堂さんは車で送ってくれた。
「藤堂さん、ありがとうございました。」
「木下さん、また明日会社でね。」
私がマンションに入るのを確認すると、車は走り出した。
夜は危ないから、マンションに入るまで待っていると言ってくれていた。
私は夢を見ているのだろうか。
先日の残業からどうなってしまったのだろう。
藤堂さんが優しくしてくれたり、甘い言葉も言ってくれる。
全く分からない事ばかりだけれど、すごく幸せだ。