イケメン御曹司の甘い魔法
「お風呂、先にありがとうございました…」
優斗さんは、ミネラルウォーターをコップに注いで渡してくれる。
「芽衣、お風呂はゆっくりできたかな?」
「はい、お風呂から夜景が見えるなんて、素敵ですね。ずっと入って居たくなっちゃいます。」
優斗さんはクスッと笑うと、私の後ろから抱きしめるように近づいた。
耳元で囁くように話し始める。
「じゃあ、今度は一緒にお風呂に入ろうか?」
耳元に優斗さんの息がかかるのと、甘い言葉に腰が抜けそうになる。
お風呂から出たのに、またのぼせてしまいそうだ。
「ゆ----ゆ---ゆう---優斗さん!!揶揄わないでないでください!」
「芽衣は本当に可愛いね。俺が風呂から出るまでいい子で待っていてね。」
優斗さんの言葉に心臓が煩く鳴り続ける。
恐らく他の男性が言うと、キザで似合わない言葉でも、優斗さんは妙にしっくりくるのは、あのルックスだからだろうか。
「芽衣、ビール飲む?」
優斗さんが、お風呂から出て冷蔵庫を開けながらビールを取り出そうとしている。
私は何気なく優斗さんの方に振り向いた。
「----優斗さん!なぜ裸なんですか!!」
「------えっ、風呂上りに上半身はいつも裸だったから---ごめん---」
優斗さんは首にバスタオルを巻いて、上半身裸に下はスウェットでお風呂から出て来た。
私は水着以外で男性の裸を見るのは初めてだ。
驚いて大きな声を出してしまった。
「芽衣、ごめんね。女の子の前でデリカシーが無いよな…」
急いでシャツを羽織った優斗さんは、冷えた缶ビールを私に渡しながら、申し訳なさそうな顔をした。
「いえ、私こそ大きな声を出して、ごめんなさい。」
「芽衣、改めて乾杯!」
冷えた缶ビールをコツンとぶつけて乾杯する。
お風呂上がりで、髪がまだ濡れている優斗さんにドキドキする。
男の色気が駄々洩れとは、まさにこのような事だろう。
端正な顔は、どの角度から見ても完璧で、じっと見てしまう。
「芽衣、無意識かも知れないけど、そんな可愛い顔で俺を見て煽らないで…」
「----あっごめんなさい。」
「これでも、芽衣を大切にしたいから、すこしずつ二人の距離を縮めようと思っているんだ。」
優斗さんの気持ちは、とても嬉しい。
それと同時に、申し訳なくも思ってしまう。
もっと私が男性に慣れていれば、優斗さんに気を遣わせなくても済むのに…
自分が情けなくなる…
「芽衣、今日は手を繋いで寝てくれるかな?」
「は---はい。」
優斗さんはニコリと笑うと、いきなり私を抱き上げた。
驚いてジタバタしてしまう。
「芽衣、暴れないで危ないよ…俺に掴まって…」
優斗さんに言われて、そっと首に手をまわした。
顔が近くて心臓がドクンとする。
同じシャンプーとボディソープを使った優斗さんは、私と同じ香りがする。
恥ずかしいような、嬉しいような不思議な気持ちだ。
優斗さんは私をベッドにそっと降ろした。