イケメン御曹司の甘い魔法
「なので、高宮部長から先日頂いたお見合いの話は、お断りさせていただきます。」
「藤堂君、もう一度よく考えたまえ。お見合いは君にとって、良い話だろ。」
高宮部長は、急に表情を変えた。
怒っているようにも見える。
優斗さんの話から、大体の意味は分かる。
優斗さんは、お見合いを断るために、私と付き合ったのだろうか。
何故かとても寂しく、悲しい気持ちが込み上げてくる。
俯いている様子に優斗さんが気づいた。
「芽衣、突然に本当にごめん。でも芽衣と結婚したいのは事実だから…」
優斗さんは、少し頬を赤くして、私から目を逸らせた。
優斗さんは本気で言ってくれているのだろうか…
突然の出来事に頭の中がパニック状態だった。
高宮部長は不機嫌そうに帰ってしまった。
私の所為で、大変なことになっている気がする…
心配になり、優斗さんの顔を見上げると、優しく微笑んでいる。
そして、大丈夫だというように大きく頷いて見せた。
少し離れたところで話を聞いていた田中さんが、近づいて来た。
「話は聞こえちゃったけど、藤堂、お見合いの話ってどういうことだ?」
「田中、カッコ悪い所を見せちゃったな、何でもないよ、大丈夫だ。」