イケメン御曹司の甘い魔法
狙われる

優斗さんは、現社長の息子で次期社長とも言われている。
高宮部長が持ってきたお見合いの相手は、うちの会社の大きな取引先の社長令嬢だった。
その会社との付き合いは、お互いの会社にとって強固にしていきたい。
それはどちらの会社にとっても同じことだ。

高宮部長がこの話をまとめれば現社長が喜び、高宮部長のお手柄になると考えていたのだろう。
高宮部長は現社長に取り入って、副社長の座を狙っているとも言われている。

その計画を優斗さんが壊そうとしているのだから、怒るのも当然だ。

「芽衣、俺は付き合う前から芽衣を見ていたんだ。君の優しさや、頑張り屋さんの所を見ているうちに、気づけば君を守ってあげたいと思うようになっていた。僕が結婚したいと思うのは芽衣だけだ…」

優斗さんの言葉に、驚き過ぎて言葉を失った。
嬉しいのはもちろんだが、いろいろな事が急に起こりすぎて頭が追い付いて行かない

「芽衣、ごめん。俺のせいで高宮部長が何か芽衣に言ってくるかも知れない。あの人は何をするか分からない人だから…そうだ、しばらくは芽衣を一人に出来ないな…俺のマンションに居てくれないかな…」

「-----っえ?優斗さんの部屋にですか?」

さらに頭が混乱しそうだ。
高宮部長の件は確かに怖いけれど、優斗さんの部屋にお世話になるなんて思ってもいないことだ。

さらに優斗さんは何かを思いついた様に、いきなり私の両手を掴んだ。

「そうだ!芽衣、よかったら俺の部屋に引っ越ししてこないか?」

もう何を言っているのか分からない。
頭が追い付かないどころではない。
何が起きてしまったのだろうか。

「ちょうど、必要なものは先日揃えたし、後は少しずつ荷物を運ぼう。」

私はまだ返事もしていないのに、優斗さんは勝手に予定を立てている。

「優斗さん!ち---ち---ちょっと待ってください!」

「---ん?何か問題でもある?」

「問題あります!!」

優斗さんは聞く耳を持ってくれていない。
優斗さんの部屋に引っ越すなんて大事件だ。
これはもしかしたら、同棲というものでは無いだろうか。
確かに好きな人と一緒に住むのは憧れていた。
ただ、あまりにもこれは突然すぎる。
心の準備が出来ていない。

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