イケメン御曹司の甘い魔法
高宮部長は、そのまま言葉を失い立ち尽くしていた。
小早川さんは、まだ諦めきれないようで、優斗さんに抱き付いて涙を浮かべていた。
社長は小早川さんの前に立ち、頭を優しく撫でた。
「小早川さん、君のお父さんとは古い知り合いでね、こんなことをしてお父さんが喜ぶかな?」
「私は優斗さんが昔から好きだったのです。それなのに…」
「小早川さん、厳しいことを言うようだが、私も君を優斗の嫁には出来ない。優斗はこれから、この会社の責任を背負ってもらうつもりだ。従業員の気持ちに寄り添える嫁が必要だと思っている。諦めてくれ。」
小早川さんは、そのまま床にペタンと座り込んでしまった。
私が手を貸すのはおかしいと思ったが、自然と体が動いてしまった。
小早川さんを抱き起した。
「木下さん、あなたは本当にお人好しね。酷いことをした私を抱き起すなんて…」
社長は、私を見て大きくハッハッハッと笑いだした。
驚く私を見ながら、優斗さんに話し始めた。
「優斗、お前はいつの間にか女性に対して目が高くなったな…木下さんは良い子だよ。」
「父さん、木下さんを知っているのですか?」
私も社長の言葉に驚いた。私は社長と直接話をしたことは無い。