イケメン御曹司の甘い魔法


私は社長と話をしているうちに、優斗さんと逸れてしまった。
一人になると、急に不安になってくる。

すると、見知らぬ男性が話しかけて来た。
端正な顔立ちで、ブロンドの柔らかいウェーブの髪に深いグレーの瞳を持っている。
どこかミステリアスな雰囲気だ。

「君は、先程まで藤堂と一緒にいた女性だよね。」

優斗さんの知り合いのようだ。
彼は美しいグレーの瞳を細めて妖しく顔を近づける。

「ねぇ、藤堂から僕に乗り換えない?僕は藤堂よりもっと君を可愛がってあげるのに…」

突然何を言っているのか分からない。
彼はいきなり私の顎のあたりに触れながら、口角を上げて妖しく微笑んだ。

「あ---あの---ど---どちら様でしょうか---」

彼が誰なのか分からず、名前を聞こうとした時、後ろから優斗さんの声が聞こえた。

「---芽衣!」

優斗さんは、私に触れていた男性から私を引き離した。

「お久しぶりですね、九条社長…うちの芽衣に何か?」

優斗さんはその男性を“九条”と呼び厳しい表情を向けた。
「そんなに恐い顔をしないで欲しいな---藤堂さん。彼女が一人で寂しそうだったからお相手をしていただけだよ---こんなに可愛い彼女を一人にすると危険だな。」

その九条という男性はクックッと笑いながら歩いて行ってしまった。

「芽衣、ごめん。一人にしてしまって---大丈夫だったか?」

「---はい。先程の方は優斗さんのお知り合いなのですか?」

「----あぁ、以前からの知り合いだが、何を考えているのか全く分からない奴だ。芽衣、あいつには気を付けろよ---」

確かに不思議な雰囲気の男性だった。
とても美しいが、危険な香りがする。

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