イケメン御曹司の甘い魔法

今回はうちの会社の新作発表会だったが、社長はこの場で重要な発表をすると言い出した。

「本日お越しの皆様には、重要な発表をさせて頂きます--------」

その内容は、私はもちろん優斗さんも驚くものだった。

今後、重役会議で最終決定するが、副社長に優斗さんを就かせるという事と、近いうちに自分は経営の第一線から退き優斗さんに譲りたいとのことだった。

いずれは、優斗さんがこの会社を引き継ぐとは言われていたが、こんなに早くその時期が来るとは思っていなかった。

優斗さんも動揺している様に見える。

優斗さんが、皆さんの前に立ち挨拶の言葉を述べている。
その姿は、私には眩しすぎるように見える。
何故か優斗さんが遠くに行ってしまうような気がして不安になった。
今までも、もちろん感じてはいたが、私には手の届かない人の様に思える。

パーティーからの帰り、優斗さんと一緒に車で送られたが、気持ちはなぜか沈んでいた。

「芽衣、なんか元気ないようだけど、疲れたのかな?」
「いえ---大丈夫です---」
「何か気になることがあるのじゃないのか?」

優斗さんは心配そうな顔で私を覗き込んだ。

本来ならば、優斗さんの副社長就任を喜ばなくてはならない。
遠い存在になるのが寂しいなんてとても言えない。


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