イケメン御曹司の甘い魔法
九条社長は、会議室の入り口の方を向いて、突然クスッと笑った。
私は意味が分からない。
「藤堂、聞こえていたんだろ?そこに居るのは分かっていたよ。よかったな、芽衣ちゃんの強烈な愛の告白が聞けただろ?俺に感謝しろよ!」
私は驚いてドアの方に振り返ると、そこには優斗さんの姿があった。
話しが聞こえていたらしく、顔が真っ赤になっていた。
「---芽衣、来るのが遅くなって悪かったな---」
私は優斗さんの胸に飛びつく様に抱き着いた。
優斗さんは優しく頭を撫でてくれる。
「芽衣、悪いけど聞こえちゃったよ。ありがとう---好きになってくれて---」
私達を見ながら、九条社長は大きく溜息をつく。
「俺は、こんなにハッキリ女に振られたのは、生まれて初めてだよ。」
九条社長は、藤堂さんの肩をポンと叩きながら微笑んでいる。
「藤堂、僕は昔からお前に勝てないよ。流石だな、芽衣ちゃんは最高の女性だよ。大切にしないと、また奪いに来るからな!」
「九条、お前に心配してもらわなくても、芽衣はずっと大切にする。奪いに来ても追い返すぞ。」
なぜか二人とも優しい笑顔になっていた。
実はこの二人は、心の底でお互いを認め合っていたのかも知れない。