イケメン御曹司の甘い魔法
その日の夜、久しぶりに優斗さんは早く帰って来てくれた。
「優斗さん、お帰りなさい。」
「ただいま、芽衣!」
優斗さんの帰りを家で待つのも、少しずつ慣れて来た。
でも、まだ恥ずかしい。
優斗さんは、迎えに出た私を玄関で抱き締めた。
私も優斗さんの胸に顔を埋めると安心して心地よい。
「芽衣、九条にキスされたところは、俺が上書きしても良いだろ?」
優斗さんの指が私の唇に触れる。
それだけで心臓がドクンと鳴りだす。
「芽衣、目を閉じて…」
目を閉じると、ゆっくりと唇に柔らかく温かい感触がする。
優しく触れて、離れてを繰り返しながら、ゆっくり角度が変わっていく。
緊張で心臓の音が煩いが、九条社長に無理やりされたキスと違って気持ち良い。
キスがこんなにも気持ち良く、心がホカホカするものだと初めて知った。
でも、息を止めていた私は窒息寸前だった。
優斗さんが離れた途端に、息を吸い込みハァハァと肩で息をするほどだ。
優斗さんはクスクスと笑いだす。
「芽衣、キスの時は息を止めなくて大丈夫だからね。もっと長く俺がキスしたら、芽衣は窒息するところだったな!」
私は顔がどんどん熱くなる。
「優斗さん!笑わないでください!!」