イケメン御曹司の甘い魔法
「芽衣、もうすぐあなたのアパートに着きそうよ…」
母から連絡があり、私は自分のアパートの入り口で両親を待っていた。
優斗さんは私のアパートから、自分の部屋まで迎えの車を手配してくれている。
黒い大きな車に運転手付きだ。
それだけでも恐らく大騒ぎになりそうだ。
「お父さん、お母さん!」
アパートの入り口に立つ私に、両親は笑顔で近づいて来た。
心臓が煩くドクドクとしてくる。
「---あ----あの---とりあえず----車に乗ってもらえますか。」
私が大きな車のドアを開けると、両親は怪訝な顔をする。
「芽衣、なんで車に乗るんだ?」
父が尋ねるのは当然だ。
娘の家に着いた途端に大きな黒い高級車が、お迎えに来ているなんて怪しすぎる。
運転手の方も車を降りて、帽子を脱ぎ深々とお辞儀をしている。
私は押し込むように両親を車に乗せた。
「詳しくは、着いてから話すから、ごめんね…」
恐らく両親は、着いてからと言われても、どこに向っているのか不安だと思う。
優斗さんのマンションに着き、部屋まで案内する。
両親は見たことの無いような、東京の高級マンションに驚いている。
「芽衣、どこに向っているの?」
お母さんは不安そうな顔をしている。