イケメン御曹司の甘い魔法

部屋に到着すると、すでに優斗さんは改まったスーツに着替えていた。
優斗さんは玄関の外に出て、両親に挨拶する。

「初めまして、私は藤堂優斗と申します。突然に申し訳ございません。」

私は両親を部屋のリビングに案内した。
何が起きているのか、驚きで言葉も出ないようだ。

「お父さん、お母さん、ごめんなさい。実は---私は今、このマンションにお世話になっていて、アパートから引っ越ししたの---」

「芽衣、どういうことだ。説明しなさい!」

やはり思った通りだ、父は怒り始めている。
優斗さんはリビングの床に膝を着いた。
私の両親に向って、深く頭を下げている。

「本来であれば、私がご両親に先にご挨拶しなくてはなりません。お許しください。」

父は床に膝をつく優斗さんに、立ち上がるよう伝えた。

「藤堂さん、お話はゆっくり伺います。椅子に座ってください。このままではお話しできません。」

優斗さんが、椅子に座ると父さんはゆっくり話し始めた。

「この状況から、だいたいの意味は分かりました。でも藤堂さん、芽衣はまだ嫁入り前の娘です。一緒に住むということは、どういうつもりなのでしょうか?」

優斗さんは、さらに姿勢を正し、改まった表情をした。

「はい。芽衣さんと結婚したいと思っております。どうかお許しいただけないでしょうか?」

父は優斗さんに向って厳しい表情をしている。
何を言うのかとても不安になる。

「藤堂さん、私達に黙って芽衣を連れてきたことは許すことはできません。何か事情があったのかも知れないが、なぜ言ってくれなかったのかな?今日は帰らせてもらうよ。」

「------お父さん!!」


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