イケメン御曹司の甘い魔法
社長はそんな私を見ながら、話しをしてくれた。
「木下さんのお父さん、お嬢さんはとても心の優しい、人の気持ちが分かる女性ですね。私は社長という身分を伝えずに、お嬢さんといろいろお話する機会がありました。見ず知らずの私に、冷たい水やおしぼりを用意してくれて素敵な女性です。」
「------そうなんですか?」
父と母は不思議そうな顔をした。
「息子の優斗と付き合う前に、私は芽衣さんと見ず知らずのおじいさんとして、雑談したり、相談を受けたりしていました。」
「社長、止めてください----」
私は恥ずかしくなり、社長の話を止めようとした。
「芽衣さん。ご両親にお話しさせて欲しいな。こちらの都合で申し訳ないのですが、優斗は近いうちに、会社の代表になってもらいます。その時、横に芽衣さんが居てくれれば、社員の気持ちに寄り添うことが出来ると思っています。周りの声に耳を傾けられる社長になってもらいたいのです。どうか芽衣さんを私達に預けて頂けないでしょうか-----」
父はしばらく目を閉じて考えていた。
しばらくすると、ゆっくりと目を開けて、優斗さんと社長の方を見た。
「優斗さん、藤堂社長、芽衣はまだまだ子供だとばかり思っていましたが、皆さんのおかげで少しは成長できたようですね。皆さんのお陰です。ありがとうございます。」
そしてお父さんは私の目を見て話し始めた。
「芽衣、皆さんに感謝を忘れてはいけないよ。こんなにも芽衣が大切にされているとは、思ってもみなかったよ。皆さんをがっかりさせない様に、ここで頑張りなさい。」
「----お父さん!」
そして、優斗さんが頭を深く下げていると、父は優斗さんの手をとって握った。
「優斗さん、あなたを信じます。どうか芽衣を幸せにしてやってください。ふつつかな娘ですが、どうかよろしくお願い致します。」
「はい。必ず芽衣さんを幸せにすると誓います。」
私はお父さんの言葉に、涙が止まらない。
父も母も、目には涙が溢れそうになっていた。