イケメン御曹司の甘い魔法
バレンタイン
「芽衣、バレンタインのチョコレート買いに行こうよ!」
ここ数日は仕事が忙しく、真理子に言われるまで忘れていた。
もうすぐバレンタインデーだ。
毎年、義理チョコを買うために、真理子と一緒に買いに行くのが恒例だ。
「芽衣、今年は藤堂さんにチョコレートあげるんでしょ?いいなぁ本命チョコ!」
毎年のことだからと、いつもは仕方なく義理チョコを選んでいたが、今年は優斗さんのチョコレートを選ぶのだ。
好きな人にためにチョコレートを選ぶのは学生以来だ。
学生時代にチョコレートは買ったけれど、結局勇気が出せず渡す事は出来なかった。
痛い思い出だ…。
チョコレート売り場に着くと、そこは女子の戦場のようだ。
チョコレートのショーケースの前で、血眼になりチョコレートを選んでいる。
「真理子、今年も凄いね…戦いだよ…」
「芽衣、私達も負けないわよ!撃沈しないようにね!」
私達はその人ごみの中に飛び込み、何とか義理チョコを必要数ゲットした。
2月なのに汗だくだ。
「ねぇ、真理子、藤堂さんはきっとチョコレート沢山貰えるよね?私のチョコなんていらないかも知れないね?」
「芽衣のバカ!大切な人に貰うチョコは別物だよ!必要に決まっているでしょ!藤堂さんを狙っている人は沢山いるのだから、芽衣も油断しちゃダメだよ!」
甘いものをあまり食べない優斗さんのために、ウィスキー等の洋酒が入っているチョコレートを選んだ。
大好きな人にチョコレートを選ぶのは、とてもワクワクするものだ。
ちょっと大人な感じのチョコレートを私なりに奮発して買った。
(…優斗さん食べてくれると嬉しいな…)
真理子と私は、チョコレートの購入も終え、食事に向っていた。
何を食べようかと真理子と悩んでいる時、誰かが私に声を掛けて来た。
「----あれっ、木下さんですよね?」
「あっ---田中さん!」
声を掛けて来たのは、バーベキューでお会いした優斗さんの幼馴染の田中誠さんだ。
田中さんは綺麗な女性と一緒に居た。
「木下さん、こちらの女性も藤堂の幼馴染なんだよ。久しぶりに日本に帰って来たんだ。」
その女性は、長く美しい黒髪に陶器のような白い肌。
透明感のある美しい女性だ。
女性の私が見ても、心臓がドクンとする。
「初めまして。私は白崎京子です。」
「---木下芽衣です。初めまして-----」
白崎さんは、微笑んでいるが、何故か目が冷たい感じがする。
私をじっと真っすぐ見つめている。
なぜかとてもいごこちが悪い…
すると、田中さんは、真理子が待っていることに気づいたようだ。
「木下さん、呼び止めてごめんね、お友達を待たせてしまったね。また藤堂に連絡するから、またね!」
田中さんは腕を大きく降ると笑顔で去って行った。
しかし、白崎さんは無表情だ。
横で見ていた真理子が駆け寄って来た。
「芽衣、あの女性は誰?なんかすごい眼で芽衣を見ていた気がするのだけど…感じ悪いよね!」
「------う---うん----」