イケメン御曹司の甘い魔法
金曜日、19時、プリンセスホテル。
ホテルのロビーに着くと、第一秘書の上田さんが最上階のレストランに案内してくれた。
「こちらで藤堂副社長はお待ちです。私はこれで失礼させていただきます。」
美しい所作で上田さんはお辞儀をした。
表情をほとんど変えない上田さんだが、少し微笑んでくれたように感じる。
レストランに入ると、支配人のような黒いスーツの男性が出迎えてくれた。
「木下様でしょうか?藤堂様がお待ちです。ご案内させていただきます。」
案内されたのは、レストランの奥にある個室の特別室だ。
そして驚いたのは、藤堂さんの前に座っていたのは、白崎さんだ。
心臓が痛いくらいにズキズキと音をたてて鳴り響く。
もし、別れ話だとしても、白崎さんの前では酷すぎる話だ。
暗い気持ちで、案内された椅子に座った。