イケメン御曹司の甘い魔法

九条社長は、ホテルのスウィートを用意してくれていた。

部屋の中には、冷えたシャンパンとフルーツがテーブルに用意されている。
そして更に驚いたのは、部屋のあちらこちらにバラの花が飾られている。

ベッドの回りや、お風呂にまでバラの花が沢山鏤められている。

「優斗さん、凄い豪華なお部屋ですね…九条社長に感謝しなくては…」

それまで何も言わなかった優斗さんは、私の言葉を遮るように、私を抱きしめてくれた。


「芽衣、君には酷い事をしたし、悲しませてしまったね。本当に申し訳ない。」

優斗さんの言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
瞳の奥が熱くなってくるのを感じる。

私は言葉を出すことが出来ず、優斗さんを力いっぱい抱きしめた。
久しぶりに優斗さんの腕の中は、とても温かい。
優斗さんの香がして、安心する。

「そうだ芽衣、バレンタインのチョコレートは俺が貰っていいのかな?」

優斗さんがカバンから出したのは、私が会社のロビーで落としたチョコレートだった。
チョコレートを落としたことも忘れていた。


< 79 / 111 >

この作品をシェア

pagetop