イケメン御曹司の甘い魔法
「優斗さん、有りましたよ。割れてしまったコーヒーカップと同じものが…」
私は陶器売り場で、大きな声を出してしまった。
すると、年配の女性定員が近づいて来た。
「藍色の縦縞の信楽焼を以前に購入してくださった方ですよね?」
「は-----はい---そうです。」
すると、女性定員はニコリと笑った。
「覚えていらっしゃらないかもしれないけれど、前回このカップをお包みしたのは私なんです。」
「---そうなんですか。」
「しかも、この信楽焼は私の父の作品なんです。貴女が大切な人のプレゼントにすると言ってくださって、とても嬉しかったのです。」
このコーヒーカップは、まだ優斗さんと付き合う前に、残業やお世話になったお礼に選んだカップだ。
ドキドキしながら購入したのが昨日のように感じる。
「お客様、大切な方に選んだカップは…こちらの素敵な男性へのプレゼントだったのですか?」
「---はい。でも私の不注意で割れてしまって…」
その女性定員は、更に嬉しそうな笑顔になった。
「割れてしまったのは残念ですが、お気持ちは伝わったようですね…とてもお似合いの二人ですね…」
その女性はカップを持ち上げて私に手渡した。
「これは、幸せそうなあなたにプレゼントで差し上げます。きっとコーヒーカップも幸せなお家で使ってくれることを喜んでいるはずですよ。」
「良いのですか?嬉しいです。ありがとうございます。」
私がお礼を伝えると、優斗さんも横で一緒に頭を下げてお礼を言ってくれた。
「素敵なコーヒーカップを、ありがとうございます。彼女から一番最初に貰ったプレゼントなんです。大切にします。」
女性は優しい笑顔で微笑んでくれた。