粗大ごみを拾ってしまった(番外編その2)大森VS巫女の壁ドン問題
<神社・神楽殿・3時30分>

神楽殿(かぐらでん)では
4人の巫女が舞を舞っていた。

奉納舞だ。

門の脇の柱に寄りかかり、
結界の外側から大森は神楽殿をみた。

リシェルは・・
すぐにわかった。

<人>には見えないだろうが・・・
大量の金粉をまき散らしている
巫女が一人。

黒髪を後ろに束ね、金の水引が流れるように飾ってある。

まだ、少女のように見えた。
4人の中でも小柄で、
現世では、15か16歳くらい・・
中学生か高校生くらいか・・

緋色の袴と白い内着、

透き通るように、何枚かの絹が重ねられ
舞の動きに一拍遅れて、たなびく。

五色の色糸が垂れている扇を
持つ手が、優雅に動く。

見るからに・・美少女だった。

肌色は透き通るように白く、
伏し目がちにしているが、

黒目の勝った大きな瞳。
頬と唇はピンク色。

瞑王は美形だが、
リシェルは精巧に作られた人形のように、可愛らしい。

大森は息を吐いた。
<これは無理だ・・>

天界での姿はわからなかったが、
高級霊ほど、老賢人や子どもの姿になるというのを聞いた。

俺はあの娘に近づくことは
できないし、
あの娘もここからは出られない。

太鼓が鳴り響き、舞の終了を告げた。

巫女たちが退出しようと
歩き始めた時、
リシェルが視線をあげた。

そして、
大森の姿を確認したのだろう・・
驚くように口に手をあてた。

リシェルの視線・・・
大森は感じた。

そして大森は
胸元で腕を交差させて
バツ印を作り、
リシェルに見えるようにした。

そして、
くるりと背中を向けて立ち去った。
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