【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
「透子、待たせたな。 よし、行くぞ」
「本当に行くの……?」
「当たり前だろ? さ、ほら」
そう言われ、手を繋がれる。
「……うん」
今の藍には何を言ってもダメみたいだから、大人しく諦めて病院に行くことにした。
「透子、アイツに何か言われなかったか?」
車を走らせながら、藍はわたしにそう問いかけてきた。
「何かって?」
「透子を傷付けるようなことだよ。何か言われなかったか?」
そう聞かれたわたしは、少し思い出しながら「藍のこと返してとか……。断ったら、殺してやるとかは……言われたけど」と正直に答えた。
「何?殺してやるだって……?」
すぐさま藍の表情が変わった。 きっと怒っているのだとは思うけど……。
「ナイフ向けられた時にね……そう言われた」
「アイツ……。マジで許さねぇ。俺の大事な透子にそんなこと言うなんて……。絶対許さねぇ」
藍の表情は、少し眉間にシワを寄せて不機嫌そうだった。
「藍、落ち着いて……。もう大丈夫だから」
「ダメだ。俺の大切な人を傷つけるようなことをしたんだぞ?アイツは。……殺そうとしてたんだぞ?」