【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
確かに、あの時……。死ぬかと思った。
藍に助けてほしいって、本当にそう思ってた……。
「……あの子、言ってたよ」
「え? 言ってたって、何をだ?」
藍は信号待ちしている状態で、ハンドルを握りながら、わたしに視線を向けていた。
「……わたしが、藍と結婚出来ると思ってたのに、って」
なぜそんなことを言っていたのか、分からなかったけど……。
確かに言っていた。
「違うんだ、透子。それは……」
と藍が話しだした瞬間に、信号が赤から青へと変わりだす。
「……藍?信号、青になったよ」
「あ、ああ……」
戸惑っているような表情をする藍は、再びハンドルを握りだし車を走らせる。
「藍。違うんだって、何……?」
わたしはそう問いかけた。
「結婚のことだろ? あれは、アイツの勘違いだ。俺は結婚したいとも、するともアイツには一言も言ってない」
「じゃあ何で……。藍のこと返してなんて、言うの?」
それが分からない。藍のことをまだ好きなのは見て取れる。……けど、何でわざわざそんなことをする必要があるの?
何が目的だって言うのよ……。