【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉
わたしがそう言うと、藍は「……そうかもしれない」とだけ答えた。
「そっか」
それ以外何も言葉が出なかった。
「俺のせいだ」
「え?」
「俺のせいだ。俺がちゃんと相手に言わなかったせいだ。……本当にすまない」
藍はなぜか、わたしに謝ってきた。
「謝らないでよ」
「透子……?」
「謝らないで。藍のせいじゃないから」
わたしはそう言うと、微笑みを浮かべて藍の肩を叩いた。
「透子……。お前はやっぱりいい女だな」
と、藍は笑った。
「だってわたし、藍の妻だし。 強気な女が、好みなんでしょ?」
「ああ、そうだ。透子みたいな女が好みだよ。透子のこと、愛してるしな」
藍にそんなことを言われたら、なぜか嬉しくなってしまう。
「ありがとう、藍」
「ああ。 あ、もう着くからな?」
「うん」
病院に着いて車を止めた藍は、わたしの手を握り病院の中へと入っていった。
「透子、お腹は大丈夫か?」
待合室で待っている間、藍は心配そうにそう聞いてきた。
「うん」
藍は心配し過ぎだけど、父親としての自覚がちゃんと出てきている。